ケミカルタンカー・プロダクトタンカー株の投資ストーリー~ $ASC 決算資料を添えて~

2021年11月11日投資と株ケミカルタンカー,プロダクトタンカー,ASC

アードモアシッピング(ティッカーシンボル:ASC)が10日寄り付き前に決算発表をしました。トーム(ARMD)と同じような銘柄ですが、こちらの方が小型でバランスシートが汚いと思います。決算自体はボチボチだったと思います。自分が気になったのは、プロダクトタンカーのおかれている状況が決算資料に記載されていて面白かったのでまとめておこうと思います。

今現在の市況

石油の需要の戻り方は早い

原油の需要は8月から12月にかけて320万バレル/日戻る予想です。これは、IEAとかの数字に基づく数字。主に足を引っ張っているのは、ジェット燃料です。重要な点は、この需要の高まりに対応するために、精製済みの在庫の取り崩しが起こっています。石油の生産増加や精製が増えることでまかなわれて訳ではありません。

在庫は5年平均を大きく下回る

その証拠としては、足元の石油精製品は在庫は不足してます。今後のシナリオとしては、大西洋側で冬の間に供給が不安定になり、貨物の動きが活発になる可能性があります。天然ガスや石炭の価格がさらに上がれば発電用の経由が消費されるので、石油需要が50~100万バレル/日増える可能性もあります。

長期的なストーリー

プロダクトタンカー

世界の石油需要
地域的な石油精製所の移動
緑=新規開設される精油所、赤=閉鎖される精油所

長期での将来の原油の需要は、2025年には1.0458億バレル/日になると予想されています。これは年率1.5%の成長で、タンカーもそれに応じて需要が増えます。

一方で、精製所の閉鎖と開設により、プロダクトタンカーのおかれる状況は変わってきています。2021年から2025年にかけて、先進国の米国、ヨーロッパ、日本、オーストラリアでの精油所の生産能力は閉鎖に伴って510万バレル/日の減少となる予定です。精油所の開設は、中国、インド、インドネシアなどで起こり、970万バレル/日の増加が見込まれています。

予想される海上輸送されるプロダクトの輸出入の量

全体として、2025年までにプロダクトタンカーの需要は年率3~4%の成長になる見込みです。これは、現在のプロダクトタンカーの供給を上回っています。

ケミカルタンカー

ケミカルタンカーの用船料はGDPと関係がある

ケミカルタンカーの需要はGDPと強い相関があるとされています。、2021年の世界でのGDPの伸びは5.5%で需要は同じベースで増えています。2025年まで年率4%で需要が伸び、現在のケミカルタンカーの供給を上回ると予想されています。

特に2022年には、食用油の輸出の伸びによって、5.5%の増加が見込まれます。食用油はケミカルタンカーの需要の35%を占めています。

したがって、ケミカルタンカーの用船料は、製品タンカーより先に上昇すると予想されています。

廃船と新造船

廃船

スクラップになるプロダクトタンカーは2021年は多い
世界のプロダクト・ケミカルタンカーの船体の年齢

2021年にスクラップになるプロダクトタンカーは増えています。今年は70隻のプロダクトタンカー(全体の2.3%)と35隻のケミカルタンカー(全体の2%)は廃船になると見積もられています。エネルギー効率の悪い船も多いので、廃船になる船は今後増えると予想されています。

新造船

プロダクトタンカーの注文数
ケミカルタンカーの注文数

現在の受注量は、プロダクトタンカーが195隻(6.3%)でケミカルタンカーが78隻(4.4%)で、歴史的に少ない見通しです。

年初来での船の注文数

船の種類別で見た時、コンテナ船やドライバルク線の受注が増えているので、プロダクトタンカーやケミカルタンカーの供給が今後数年は低い水準になると見られています。さらに、環境規制などで船主か発注をためらっている傾向もあります。

ASCのガイダンス

アードモアのTCEレートのガイダンス

足元、でASCはTCEレート(船賃)が10~12月期は上がるというガイダンスを出しています。現にここ2週間くらいは船賃が上がっているとのことです。年初来が$11,462対し、$15,300と強気に思えます。

個人的なプロダクト・ケミカルタンカーのプレイ方法

エネルギー関連銘柄ですが、原油価格に依存することなく遊ぶことができます。供給・需要が増えれば原油価格は下がりますが、タンカー市況にとっては荷物の移動量が増えるので運賃の上昇になります。政治的な思惑で原油価格が動いて、経済再開のビッグウエーブに乗れない場合は、これらの銘柄は面白いのかもしれません。

さらに需給が引き締まってきているのは目に見えているので、どこで価格上昇に繋がるのがタイミングは分かりませんがバリュー株らしく待ち続ける事が大事かと思いました。

しかし、タンカー市況をリアルタイムで監視するには参考にできる指標が少なく、足元の景況感を探るのが非常に難しいように思いました。エネルギー動向にプラスしてタンカー市況を見る必要があるのでとても手間がかかります。何が言いたいかと言えば、たとえば原油を生産してる会社なら原油価格を見ておけば万事OKですが、タンカーになると、原油価格以外の影響を受けるので全体的な観察というかチェックが非常に悪いように思います。あと、インサイダーと比べて個人が情報を手にするのが遅すぎる事が多いように思います。

さらに、各社まだ赤字な状況なので、非常に長い時間で待たされる可能性がありますし、これから急激に不景気に突入すれば、倒産の危機になると思うのでハイリスクなのは間違いありません。

感想

情報を探すのがホントにめんどくさい業界