11月米EIAエネルギー短期見通しと欧州の天然ガス不足とか

2021年11月10日投資と株EIA,天然ガス,STEO

米EIAエネルギー短期見通しが10日に発表されました。EIAの考える将来の予想も出ていますが、神通力があるようには思いません。しかし、公的機関なので曲がった見方のない意見ですし、何より大勢の人が見ているのでチェックする意味はあるでしょう。

今回から定点観測を始めるので、気になった部分をを一つ一つまとめてみようと思います。なお、この記事は元のデータを1000倍に薄めたような内容なので、元のデータを参照することをオススメします。

原油の世界全体での需給の予想

コロナ後からは減産によって、消費量が生産量よりも多い状況が続いています。その状況も今年の冬を超えれば状況は一転して生産量が多くなる見通しです。

先月と比べて、年内の生産量予想は95.86→95.97百万バレル/日に増えました。
2022年の生産量予想は101.32→101.42百万バレル/日に増えました。

年内の消費量予想は97.47→97.53百万バレル/日に増えました。
2022年の消費量予想は100.95→100.88バレル/日に減りました。

原油の価格予想

2021年Q4のWTI原油価格は78.32→80.45ドル/バレルに上がりました。
2022年通年のWIT原油価格は68.24→68.28ドル/バレルに上がりました。

価格が上がる方に修正されていますが、これは足元の原油価格が上がった事が原因だと思います。長期的ばシナリオにはおそらく変化はありませんでした。

ところで、この図にWTI原油先物の価格を重ねてみると以下のようになります。一般的に期先の原油ほど保管コストがかかるので値段が高くなりますが、EIAの予想する原油価格と先物価格の差が未来になるにつれて差が大きくなるのが見えます。ある意味今の先物の値段は妥当かと思いました。

米国の天然ガスの在庫

米国の天然ガスの在庫は適正な水準で例年よりも少ないものの、逼迫している様子は感じない。

欧州の天然ガスの在庫(余談)

ところで、逼迫しているのはヨーロッパで、在庫は例年よりもかなり少ないように見える。

AGSI加盟の各社の天然ガス在庫(EIAのデータではない)
AGSI加盟の各社の天然ガス在庫(EIAのデータではない)

一方で、ヨーロッパのLNGは在庫をみると逼迫していない状況で理解に苦しむ。

(EIAのデータではない)
(EIAのデータではない)

天然ガスの価格の予想

冬の間は5ドル台で推移して、その後は3ドル台に戻る予想になっている。しかしオプション価格もふまえて考えればボラティリティが高いので予想になっていない。米国の逼迫具合だけ見ていてもダメだし、寒波が来るか来ないのかだけでも変わるので、神通力はないように思う。

ちなみに世界の天然ガス価格を見た場合、HH(ヘンリーハブ)が5ドル台と激安で、TTF(ヨーロッパ)とJKM(日本・韓国)の価格を比べたら、10倍近く価格が違う。

EIAのデータではない)

米国の天然ガスの輸出入

米国はカナダからパイプラインを使って天然ガスを輸入している。また、パイプラインによる輸出はメキシコに行く。メキシコに輸出するためのパイプラインは新しくできており、輸出は増えている。また、天然ガスをLNGにする施設も新しくできているので輸出は増えている。

このような設備が整ったため、海外と米国の間での天然ガスの価格差があれば輸出して儲けることができる構造ができている。そのため、海外と米国の間での価格差が小さくなりやすくなっている。最近の天然ガス高騰はこれが原因になっている。