米国の天然ガスまとめ

2021年11月6日投資と株天然ガス

にわか知識になるが、エネルギー関連について調べたのでまとめておく。最近の天然ガスの高騰はヨーロッパの需給逼迫によるものだから、ここでは深く触れるつもりはない。時間があれば他でまとめたい。

天然ガス価格を予想したいワケですが、「生産者側の供給面」と「消費者側の需要面」の2つを手がかりに見てきます。もちろん、生産量が増えれば価格が低下しますし、需要が強ければ価格が上がりますので2つのバランス感覚が重要だと思います。

具体的に供給面は、

・天然ガスの生産量(増産なら価格が低下する。ハリケーンで設備が壊れたら生産量が減る)
・天然ガスの在庫の量(在庫が少なければ価格は上がる)
・輸出入の量

需要面は、

・気温や天候(夏は暑ければ電力需要で天然ガスは使われ、冬は寒ければ暖房需要で天然ガスは使われる)
・経済成長のレベル
・石油などの代替可能なエネルギーの価格

これらを定点観測していく必要があると思います。とりあえず見ていきましょう。

生産と消費と輸出入

2020年に米国で生産された天然ガスは33.49兆立方フィート(Tcf)でした。その内、国内で消費されたのは30.47兆立方フィートで、2.73兆立方フィートは輸出されました。

天然ガスの使用先

天然ガスの用途のほとんどは、暖房と発電です。2020年には、米国で消費された天然ガスの内38%は発電に使用されました。

生産

米国で2020年に生産された天然ガスは33.5兆立法フィート(33.5Tcf)でした。

1日あたりでは915億立法フィート(91.5Bcf)でした。内シェールガスは約750億立方フィートでした。

シェールガスの生産地

オハイオ州、ペンシルベニア州、ウェストバージニア州にまたがるマーセラスという地層で最も生産されています。銘柄で言えば、アンテロリソーセズ(AR)はここで操業しています。

次に大きな地層はテキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアンという地層です。銘柄で言えばパイオニアナチュラルリソーセズ(PXD)やダイヤモンドバックエナジース(FANG)はここで操業しています。

天然ガスの在庫

図の灰色の部分が5年間での在庫のレンジです。冬は暖房需要で消費されるので、冬の間は在庫が減ります。

在庫が少ないと需給が逼迫しているので、天然ガスが価格が上がりやすくなります、現在の在庫は多いとも少ないとも言えないと思います。

現在は3.6兆立方フィートが在庫としてあります。2020年は1日平均で830億立方フィートの天然ガスが消費されていますから、季節ごとの消費量の増減がないと仮定すれば43日分の在庫があります。

天然ガスの輸出

天然ガスの輸出はここ最近になり増えました。以前までは天然ガスを輸入していました。

処分による米国の年間天然ガス需要
米国の年間天然ガス消費、生産、および輸出
処分による米国の年間天然ガス供給

このようになった理由は、2つあると思います。1つは隣国のメキシコへ輸出するパイプラインが整備されてきたことです。2020年の輸出の40%はメキシコでした。

メキシコの天然ガスパイプライン
地域別のメキシコへの米国の毎月の天然ガス輸出

もう一つは、近年ではアジア、ヨーロッパでの天然ガス価格が高騰し、アメリカの価格差が大きくなったのでアービトラージが効くようになったことです。例えば、去年も今年と同じことが起こっているように思います。

毎日の天然ガスとLNGの価格(2019年1月〜2020年12月)

さらに去年の数字ですが、LNGの輸出のキャパシティも上がっています。

米国の液化天然ガスの輸出(2016年1月〜2020年12月)

アメリカの天然ガス需要だけでなく、世界での天然ガスの需給が逼迫すれば、米国が輸出を頑張り出して米国の天然ガス価格が上がる構造ができています。

最近の天然ガス価格

単位は両方とも同じ(ドル/MMBtu)です。

ちなみに、Btuは英国熱量単位で「仕事」の単位になりますはジュール[J]です。1 Btu≒1054 J です.

つまり、5ドル/MMBtuは、5ドルで約10億ジュールの仕事を買うことになります。分かりにくい!

また、1MMBtuのエネルギーの天然ガスは、1000立方フィートの体積です。

ちなみに1000立方フィートは2万8000リットルです。ヤード・ポンド法は滅んでくれ

日本、韓国でのLNGの価格と、ヨーロッパでの価格
米国ヘンリーハブの天然ガス先物価格

最近の気温

天然ガスの一番の需要は暖房です。なので天然ガス価格は気温に大きく左右されます。最近では気温が高かったので、天然ガス価格は横ばいでした。以下のGIFは10月1日から11月2日までの平年からの気温の差です。

今年の冬は寒冬予報ですが、10月はおおむね暖かかったことがわかります。これからは本格的な暖房需要期に入るので、気温は大事です。

現在の個人的な市況のまとめ

米国の天然ガスの在庫のレベルは例年通りで価格が上がる理由がない。しかし、天然ガス価格が5ドルを超えるような値段になっているのは、ヨーロッパやアジアでの天然ガス需給逼迫が原因になっている。

米国では、最近になって輸出設備が整いだしてるので、米国で5ドルで天然ガスを売るよりも、液化してLNGタンカーを使って、アジアやヨーロッパで10ドルとか30ドルとかで売った方が儲かる構造が出来ている。

シェール企業も増産しないし、OPEC+も大幅な増産はしないから、供給は増えずに需要だけが急激に強くなっているのが天然ガス価格高騰の原因になっている。

これから冬の暖房需要期に入り、クリスマスあたりにニューヨークの気温が-10℃にもなれば、天然ガス価格10ドルも夢ではないと思う。しかし、シナリオとしては現実的だと思うが、天気の事なのでお天道様に祈るしかない。