中国はすべてのテクノロジー企業の息の根を止めるか?

2021年7月27日未分類

ここ数ヶ月で起こった事を振り返って、投資家がどのように感じているのか想像して、今後の中国の動きを考えました。また中国株に投資妙味があるのか考えました。

アントグループ

中国の電子決算企業であるアントグループは、銀行業でもないのに金融規制をかいくぐっているという理由で2020年11月に上場3日前にIPOの中止になった。

この上場中止は、テクノクラートが体を張って問題のあるアントの上場を阻止したとか、金融当局を批判したアリババのジャック・マーの失言により習近平が直接上場中止を決めたとか言われていると思う。

アントは、上場前に対処されたので、外国人投資家を大きく痛めつけることはなかった。だから、外国人投資家をきちんと保護するという私は印象を持っていた。

アントの上場中止は中国政府の政策変更ではなく、金融規制をかいくぐっているという理由は正当に思える。この時点で自分はおかしな印象を持たなかった。

DIDI(滴滴出行)

21年6/30に上場したDIDIは、7/2日に新規ユーザー登録を禁止、7/5にはストアからアプリを削除された。

このような問題になった理由はサイバーセキュリティの問題があるからという事になっている。個人情報の取り扱いが違法という理由であるが、結局のところテータが海外に流出する事をかなりのリスクだと中国政府が捉えているのだろうと思う。

余談だが、中国での位置情報データをきちんと取得する事は難しい。GPSの座標系も中国とその他では違っていて、緯度と経度がランダムにズレるアルゴリズムが組み込まれている

アントとの違いは上場直後に中国政府による圧力が出た事で、外国人投資家の中には中国という国の政治的なリスクを思い出した人が多いのではないかと思う。

中国政府が意図して上場直後にDIDIを締め付けたのかはまだ疑問がある。たぶん、上場の数週間前から中国当局からIPO延期を提案されていたが、DIDI側がIPOを強行したという見かたが正しいと思う。

だから、中国当局が意図して外国人投資家に損させるような決定をしたのか断言できない。

教育セクターの締め付け

中国の教育セクターが1日で-70%安になった事は、前に言ったのアントやDIDIよりも衝撃的に写った。アリババが独占禁止法の罰金を払った件もあったが、それよりもインパクトが強い。

中国は学習支援サービス事業を非営利化する事を企業に求めるように検討している、という報道が7/23にあった。つまり塾とか教育テクノロジー企業がきれいさっぱり消え去るということで、当然上場を維持することは難しいし、新規の上場も不可能だと思う。

今回の規制は、教育業界に留まらなかった。DIDIやアントやアリババも中国の規制との勝負だったわけだが、今回はテクノロジー企業なんか当局の一声で無価値にする事ができるという印象を与えると同時に、中国のネット企業の締め付けがさらに広がってる事を反映しているように思う。

政府の一声で中国にある財産をどうにでもできるのだから外国人投資家は資金を引き上げるしかないし、中国人も財産を海外に逃がして生活する事を望むだろうと思う。リスクリターンで測ることができないので、逃げるしかない。最近起こってるのはそんなイメージだ。

この教育業界への締め付けは、私からすればはっきり言って意味不明である。教育熱が高すぎるという理由で規制なんかされていい訳がないと私は思う。だって、資本主義・民主主義的ではなから。

確かに中国の過剰学歴問題があるにしても、その対策が塾の規制とは正直に言って良く分からない。

規制するなら、中国の経済成長鈍化なのに規制を行う習近平のちぐはぐさ

今回のテクノロジー企業の規制は、投資意欲を削ぐには十分だったように思います。

外国人投資家が逃げれば、中国国内での投資が減るのでそれだけ成長も望まません。中国の資産家も海外に資産を逃がそうとするでしょう。

中国が直面しているのは、人口減少による成長鈍化です。成長鈍化するような日本と同じルートを辿る国に、外国人投資家は見向きもしないので、資金が集まりません。

中国の外貨準備高(千ドル)
ドル元、月足

外貨準備高を見れば、中国はまだ外貨を獲得しながら成長できる状態ではありません。ここ数年ではほとんど横ばいに見えます。しかしGDPで見れば成長しているので、GDP比で見れば相対的に外貨準備高が減っています。

中国の資産が海外に流出する事は、元安になります。元安は一見すると中国経済にプラスのように思えますが、外貨準備高が少ない状態で現安が進めば介入の余地が少ないので、一概に良いとは言えません。

テクノロジー企業規制は、中国経済の鈍化につながります。それにも関わらず習近平が規制をやりはじめたという事は民主主義的な国ではなく、たった一声で財産を失うような国であることを多くの人が感じたと思います。

この先規制が強化されるかは分かりませんが、規制リスクが高すぎて、もはや中国株はPERとかPSRとかそんなバリュエーションで測ることができない状態なのは間違いないと思います。

中国株に投資妙味を感じるのかについては、とても怪しいように思います。とても儲かるor全損かのバイナリーな印象で、ポートフォリオのコアに据えることは決してできない銘柄群だと思います。